ラムのラベルにある数字は、同じ物差しとは限らない
棚に並んだ二本のラム。片方のラベルには「12」、もう片方には「23」。数字だけを見れば、後者のほうが11年ぶん長く樽にいたように見える。
ところが、それぞれのメーカーの説明を読むと、この二つの数字は同じものを数えていない。
その数字は、本当に「年齢」なのか
ボトルに大きく数字が置かれていても、それが熟成年数を示しているとは限らない。商品名の一部であることもあれば、別の意味を持つ数字であることもある。
区別の手がかりは、数字そのものではなく、その周囲にある。「Year Old」「Aged」といった年齢を示す言葉が添えられているか。メーカーが熟成年数として明記しているか。
米国では、ラムに年数を表示すること自体は必須ではない。ただし表示するなら、製品の中で最も若い蒸留酒の年齢を示すことになっている。
書かなくてもよいが、書くなら決まりがある。
だからラムの数字を見るときは、まず「何年か」ではなく、その数字がそもそも年齢として書かれているのかを確かめる必要がある。
正式な年数表示なら、基準になるのは「いちばん若い原酒」
「ラムには年数表示のルールがない」と言われることがある。少なくともEUや米国については、そう単純ではない。
EUでは、スピリッツに熟成年数や年齢を表示する場合、原則として製品中で最も若いアルコール成分の年齢を示す。米国のラムも、年数を表示するなら最も若い蒸留酒が基準になる。
つまり、異なる年齢のラムをブレンドした場合、「12年」と正式に表示されているなら、12年より若いラムが入っている、という読み方は基本的にできない。
正式な年数表示は、ブレンドのなかの最年長ではなく、最年少を見る。
この考え方を知っているだけで、ラベルの数字はかなり読みやすくなる。
「12」と「23」は、同じ種類の数字ではない
実際のボトルで比べてみる。
Appleton Estateの12年ものは、メーカーが構成するラムすべてを最低12年熟成したものとして説明している。ここでの「12」は、原酒全体の年齢の下限を示す数字だ。

一方、Zacapa No. 23は、メーカーによれば6年から23年のラムを組み合わせたものだ。

つまり、この「23」は、すべての原酒が23年以上熟成されているという意味ではない。
だから「12」と「23」をそのまま引き算して、11年の熟成差があると考えることはできない。
混乱の原因は、ラムに数字のルールがまったくないことではない。見た目のよく似た数字が、違う種類の情報として置かれていることがある点にある。
ソレラは、年齢ではなく仕組みの名前
Zacapaの説明には「ソレラ」という言葉が出てくる。
これは年齢の単位ではない。異なる熟成段階の酒を組み合わせながら育てていく仕組みに関わる言葉だ。
そのため、「Solera 23」と書かれているからといって、23がそのまま最低年齢や平均年齢を意味するとは限らない。平均23年と読める、といった共通ルールがあるわけでもない。
ソレラという言葉だけでは、横の数字が何を表しているかは決まらない。
冒頭の二本に戻る。ラムの数字は読めないのではなく、読む順番が違う。
まず、その数字は年齢表示なのか。次に、その市場では年齢表示がどう定められているのか。そしてメーカーは中身をどう説明しているのか。
この順で見れば、「23のほうが12より古い」という単純な比較から離れられる。
ラベルの数字は、比較の答えではない。何を数えた数字なのかを確かめるための入口なのである。